伝説のディーラーの見方

モルガン銀行（現・ＪＰモルガン・チェース銀行）で伝説のディーラーとの異名をとり、東京支店長を務めた藤巻健史氏は、ブルームバーグとのインタビューで、日本の財政事情は「極限に来ているが、規律は全く感じられない」と指摘。巨額の累積赤字に加え、３０兆円台後半の税収と９０兆円超の歳出計画は「とんでもない話」と言い、数兆円程度の見直しでは「どうにもならない」と述べ、早ければ今年末にも「市場の反乱」が起きると予想。
　長期金利は５％前後へと上昇を始め、株安・円安を伴うトリプル安の日本売りにつながる恐れもあると話した。

　ご本人が常々おっしゃるように「ポジショントーク」の側面もあろうが、ドル売り（円高）の次に円売りが材料として意識されるシナリオも想定しておきたい。

　財務省によると、国債と借入金、政府短期証券を合わせた「国の債務残高」は９月末に８６４兆５２２６億円と過去最大を更新。国際通貨基金（ＩＭＦ）は３日公表した報告書で、日本政府の債務残高が対国内総生産（ＧＤＰ）比で２００７年の１８７．７％から２００９年は２１８．６％、２０１４年には２４５．６％に膨らむと予測している。

　　

ＣＭＥ、金塊を証拠金として受け入れ決定

　１０月からシカゴ・マーカンタイル取引所（ＣＭＥ）グループなどの取引所が先物取引の証拠金の支払いを金塊でも受け付けることを決めたが、金が商品としてでなく、代替通貨としてのマネーの側面が評価されている象徴的な出来事。

　　

欧州タイム以降の注目点

ドイツGDP・確報値（16:00）
　事前予想：0.7%（季調済・前期比）
　事前予想：-4.8%（季調済・前年比）
　事前予想：-4.7%（季調前・前年比）

ドイツIfo景況感指数（18:00）
　事前予想：92.5

ユーロ圏製造業新規受注（19:00）
　事前予想：1.0%(前月比）
　事前予想：-17.3%（前年比）

米GDP・改定値（22:30）
　事前予想：2.8%（前期比年率）

米個人消費・改定値（22:30）
　事前予想：3.2%

S&Pケースシラー住宅価格指数（23:00）
　事前予想：-9.10%（前年比・主要20都市圏）

コンファレンスボード消費者信頼感指数（25日0:00）
　事前予想：47.5

　　

今週の注目点

今週は米国で多くのイベントが予定されており、本日もドイツＩｆｏ景況感指数、米３ＱＧＤＰ改定値、米Ｓ＆Ｐケースシラー住宅価格指数、米消費者信頼感指数に加えて、ＦＯＭＣ議事要旨が発表される。
　
　ＦＯＭＣ議事要旨では、低金利政策の継続期間に関する議論がどのように行われたのか注目されようが、昨日もセントルイス連銀総裁が来年3月に終了予定のＭＢＳ・ＧＳＥ債購入に関して、その後も購入権限は維持し、ごく小額でも継続すべきとの考えを示すなど、最近のFed高官発言はハト派的なものが多くなっている。米債券運用大手ピムコのビル・グロスも１９日、公式サイト上に投稿したリポートで、「米国には１５００万人の失業者と、２５００万人の時間給労働者がいる。金価格が１１００ドルを突破しただけで、利上げが行えるか。冗談だろう」と述べ「ゼロ金利政策を通じてリフレを目指す米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）の作業は完了にはほど遠い」と指摘。

　各国のマクロ経済指標に関しては、米国の経済指標が市場予想を上回る場合には、昨日のようにリスク資産上昇に繋がるとみられる一方、２６日の米サンクスギビングデー（感謝祭）や、シンガポール休場（27日）を控え、既存の資源国通貨や新興国通貨買い・ドル売りポジションの調整・巻き戻し圧力も予想される。米金融緩和の長期化観測からドルを売って金利が高い豪ドルやユーロを買う動きが継続見通しだが、感謝祭の時期は例年多くのディーラーが休暇をとるため、取引が閑散となる傾向があり、１１月末は、一部の米系金融機関が会計年度末であることや、ファンドの決算時期でもあることから、持ち高調整の動きが強まりやすい時期でもある。

　　

ＮＹ金（チャート分析）

ＮＹ金は史上最高値更新。ＮＹ１２月限の上値目標値であった１１５８．５ドルを達成。
　直近の波動からは、Ｎ＝１１９７．７ドル、心理的節目１２００ドルが次のターゲット。
　トレンド系指標は軒並み陽転継続となっており、ＡＤＸも高水準でトレンドの勢いも強い。ただし、オシレーター系指標では、軒並み短期的な買われ過ぎ感を示しており、２６日から始まるサンクスギビンデー（感謝祭）前後は薄商いの中、ボラティリティが上昇する可能性も。

　　

リスク許容度拡大も

昨晩の海外市場は、こちら。画像をクリックすると拡大します。
　株高→商品高の流れの中で、豪ドルなどの資源国通貨が反発、ドルと円はその他通貨でほぼ全面安の展開。ユーロ圏PMI、カナダ小売売上高に加え、米中古住宅販売も市場予想を大幅に上回ったことも、リスク許容度拡大の一因に。

本日の東京市場は、円高であるものの連休中の海外高に加えて、夜間も高めで始まっており、貴金属中心に前日比プラスサイドで高まる見通し。売り方の踏み上げも予想されるが、今週はサンクスギビングの連休を控え、薄商いの中、乱高下も想定しておきたい。

　　

日本の連休中の値動き推移

日本の連休中の値動き推移は、こちら。画像をクリックすると拡大します。貴金属が金をリード役に大幅続伸。

　　

金最高値更新

ＮＹ金：1,164.7（+17.9）
ＮＹ白金：1,467.6（+25.7）
ＮＹ原油：77.56（+0.09）
シカゴ大豆：1,042.0（-4.00）
シカゴコーン：387.25（-3.75）
ＮＹコーヒー：136.30（+1.70）
ＮＹ粗糖：22.14（-0.33）
ドル円：88.95（-0.03）
ＮＹダウ：10450.95（+132.79）

株高→商品高。金は史上最高値更新。

　　

Don't trade between the two turkeys

２６日から米国はサンクスギビングデー。日本ではクリスマスと言えば１２月２４日・２５日という感じですが、米国ではこのサンクスギビングデーから１２月のクリスマスの約１ヶ月間「クリスマスモード」。

　トレードの世界にも「Don't trade between the two turkeys（２つの七面鳥の間はトレードするな）」と言う言葉があります。

　米国ではサンクスギビングもクリスマスも、家族が集まりターキー（七面鳥）を食べます。この間は何をやってもあまり儲からない（クリスマス休暇で休んでいる人間もいて薄商いの中、動かなかったり、値が飛んだりと難しい相場付きになる）。
　逆にクリスマスを過ぎれば、お正月は１日だけで日本人ほど新年は祝わないので、マーケットは活発化することからきた言葉だと思います。

　　

感謝祭による休場予定

米感謝祭に伴う休場予定です。画像をクリックすると拡大します。

　　

玉ひで親子丼セミナー

　２８日（土）の行列のできる人形町「玉ひで」の親子丼を食べながらのランチセミナー。定員を大幅に上回るご応募を頂き、先日、お伝えしたように、５日（土）の同じ時間に、追加講演を行うことになりました。

　食事をしながら、オフレコ話もできればと思います。お申し込み・詳細はこちら

　　

NYダウ（チャート分析）

ＮＹダウは上昇チャネル継続もストキャスティクスはダブルトップを付けてデッドクロス。転換線で下支えられないようなら、基準線水準への押しも想定できるチャート形状。転換線の攻防が焦点。

　　

ＮＹ金（チャート分析）

週末のＮＹ金は、株安を受け、リスク回避の動きから序盤に下押したものの、セイフへブンとして買う動きは強く、引けにかけて１１４０ドル台回復。１１５０ドルの大台を維持することはできなかったが、この日の高値圏で堅調に引けた。
　１８日には上ヒゲで押されたが、昨晩は下ヒゲで値を戻した格好。強弱がっぷりよつ。勝敗は週明けへ持ち越し。

　　

トリシェＥＣＢ総裁

「現時点で危機が終わったと宣言するのは時期尚早」

「最近の金融の動向は良くなっているが、政府の支援策で支えられている」

「市場関係者は、支援策が前例のない規模だという事実を認識すべき」

「銀行幹部の報酬に対する国民の懸念を理解し、Ｇ２０合意を厳密に守るべき」

「銀行の利益は資本や準備金に充て、配当や不適切な報酬に回すべきではない」

「公的支援の目的を考えれば、銀行は貸し出しを行うべき」

「危機対策は時間とともに「中毒」起こす、恒久的な解決策にはなりえず」

「中銀の非標準的措置、段階的に解除する必要」

「刺激策の解除は段階的・タイムリーに行う、銀行は解除に備える必要」

「今後については「治療」より「予防」が望ましい」

「異例な低金利やインフレ期待の抑制、金融の状況を緩和した」

　　

ウォーレン・バフェットの言葉

「いつも私が主張する事だが、他人が恐怖を抱いた時に、欲を出す事だ。そして他人が欲深くなった時には、恐怖心を抱くことだ。しかし、あまり過度の期待を持たない事が肝心である。もちろん、他人と同じように欲深くなったり、恐怖心を抱いたりしないことである。少なくとも最後のことは、いつも頭に置いておく事だ。 」