29日のロイター通信の対話型地図データサービスによると、米国本土から液化天然ガス(LNG)が初めて中国に輸出され、タンカーが現在航行中。パナマ運河が拡張され、アジア最大のLNG買い付け国である中国への輸出が可能になったことが新たに示された。

 英・オランダ系ロイヤル・ダッチ・シェルのタンカー「マラン・ガス・アポロニア」は、米ルイジアナ州にあるシェニエール・エナジーの「サビーンパスLNG輸出プラント」で積み込みを行った。パナマ運河通過は今週初めで、29日午後にはメキシコ西海岸沖を北西に向かって航行中。

 シェルのスポークスマンは、タンカーの行き先について具体的に明らかにしない考えを明らかにした。一方、エネルギー情報提供会社ジェンスケープは、タンカーが中国に向かっていることを確認した上で、行き先が変更される場合もあると語った。

 (拡張された)パナマ運河は、メキシコ湾沿岸に点在する輸出プラントとアジアの距離を、従来の1万6000マイルから9000マイルに短縮。これで米LNG生産会社は、ガス需要が世界有数規模のアジア市場で競争力を高めた。

 サビーンパスのLNGプラントは2月に輸出を開始し、これまで20隻のタンカーに容量ベースで約65.9bcf(10億立方フィート)が積み込まれた。これまでの輸出先は南米とインド、中東、欧州だった。

 米連邦政府の統計によると、米国は1969年からアラスカ州でアジア向けにLNGを輸出している。ただ、中国への直接輸出は少なくとも73年以来行っていない。