ブルームバーグがまとめる毎年恒例の「ペシミストガイド(悲観論者の手引書)」要約

欧州
 英国のEU離脱の選択に続き、欧州はさらなる衝撃の震源となる可能性。今後3年の政府の安定性に関する分析で、ギリシャが欧州大陸最大の懸念材料になると予測。他の警戒を要する国として、ポピュリスト的な理念が最近勝利を収めた英国とポーランドを挙げた。
 フランスの大統領選やドイツの総選挙など欧州で予定される国政選挙が、トランプ次期米大統領の外交政策に匹敵する不安材料と認識されている。フランス大統領選で移民に反対する極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首が当選し、反EU・反グローバリゼーションのアジェンダを推進するリスクや、イタリアの政治危機を指摘。

米国
  トランプ次期米大統領の将来の政策をめぐる不透明感が、世界の安全保障にとって単独の最大のリスクだと考える回答者は、全体の38%を占めた。メキシコ国境の壁は最も実現しそうにない選挙公約の一つと受け止められているが、中国製品への関税や北米自由貿易協定(NAFTA)の解消、不法移民の強制送還はいずれも可能性が幾分高いと考えられており、専門家は圧倒的にトランプ氏が減税を実行すると確信している。
  外交紛争の仲介役の役割をトランプ次期大統領が放棄することで生じる「空白」の結果こそが、2017年の最大のリスクになる。


ブラックスワン
 仏大統領選でルペン氏が当選する可能性を相当深刻に捉えるべき。それらに加えて、「ハードBrexit(強硬なEU離脱)」の結果、メイ首相が退陣を余儀なくされ、イングランド銀行(英中央銀行)の独立性に終止符が打たれる事態と、米中の通商戦争勃発。