Q:国際決済銀行(BIS)は、中央銀行が資産インフレに十分な注意を払っていないと問題提起したが、現在の高水準の株価に対しては不安はないか?

A:経済見通しを固めるに当たっては、金融環境も考慮する。株価も金融環境の一つだ。高水準の株価は、消費支出を増やす要因の一つと考える。われわれはまた、過去数カ月間の間にリスクスプレッドが低格付けの社債について低下したことも認識している。これもまた、金融環境が幾分緩んだことのしるしだ。
半面、過去数カ月の間に長期金利はいくらか上がった。ドルも小幅に強くなった。

Q:それでは全体を通して見るとどうか?。
A:民間のアナリストの中には、金融環境に影響を与えるさまざまな要因を総合して金融環境指数のようなものを出す人もいる。著名なアナリストやそういった人が出す指数を見ると、結論は金融環境が全体として緩んでいる、ということだ。その一因は株価だ。そういうわけで、この要因は経済見通しに影響する。

Q:今週末、ドイツの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議にムニューシン財務長官と出席するが、議論の見通しは?。

A:経済情勢や米国の状況に関していつも意見を交換する。米国の金融政策について説明し、米国の政策の見通しをきょうここで行っているように解説するのが目的だ。世界経済は改善していると言ってよい。前回G20に出席した時より成長率は少し上向いた。リスクも、もう少々均衡している。ただ、世界経済には中期的に非常に大きなリスクがある。これらの問題についても話し合うだろう。

Q:FRBが政府の財政政策について議論しなくても、企業や消費者は織り込んでいる。実現しなかったり遅れたりした場合の悪影響を懸念しているか。

A:前回のFOMC声明では、企業や家計の心理が目立って改善したと指摘。心理が実際どのくらい支出の意思決定に影響するのか不透明で、現時点で将来への期待がどのくらい支出決定を動かしたか確固とした証拠が見えた、とは言えない。FOMCでは、接触先の企業から得た情報についても意見交換する。自分も多くの同僚も、ここ数カ月間で、多くの企業の心理が大幅に改善したことに気付いている。ただ、自分や同僚が対話した経済人のほとんどは、様子見姿勢を維持していた。投資を拡大できるのではないかと期待して、それを待ち望みつつ、情勢を見守っていた。