アンケート用紙に記載された週末のセミナー来場者さまからのご質問です。


Q:米国に保管されているとされる金ですが、アメリカ自身の分、他国の政府保有分問わず公表されている分は本当にそこにあるのでしょうか?それはどの様に担保されていますか?また、確かめる方法はありますか?

A:米国は他国から預かった金の保管状況について保安上の理由から開示していません。
金が保管されて言われるのが、ケンタッキー州フォートノックスの施設(軍基地内)や、NY連銀ビルの地下に保管されているという説などがもあるが実際は不明。フォートノックスの在庫確認は、1953年アイゼンハワー大統領時代に行われて以来1度も行われていないとも言われます。しかも、その時の検査も、全量ではなく、5%の品質検査をしたに過ぎないとの説もあります。

 こういったことから、過去何度となく、本当に金塊は存在するのかと言う説が浮上してきました。IMFの前専務理事ストロス・カーン氏は、このフォートノックスの保管されているべき金(Gold)が無いことに気づいたためスキャンダルで失脚したとか、中国がフォートノックスから受け取った金塊がメッキしたタングステンだったとか、確認できない噂話が数多く存在します。これらは確認できないのが現状です。

 そう言った中、独会計検査院は2012年10月下旬、ドイツ連邦銀行に対し、米国に預けた金塊を定期的に検査するよう求める報告書を提出した。ドイツは米国に次ぐ金保有国だが、大半は外国に置かれてままであった。独政府(中央銀行である独連銀)が所有する金地金のうち、66%を米連銀(FRB)、21%をイングランド銀行、8%をフランス銀行が預かってきた。第二次大戦の敗北以来、戦勝国の米英仏の中央銀行が、ドイツ政府の金地金を「預かった」格好となり、独本国には5%しかないと言われた。この預託は冷戦期に「ソ連軍がドイツに侵攻して金塊を奪うかもしれないとの理由で、続けられていた。

 冷戦も終了し、リーマン・ショック後、ドイツ連銀は金の回収に動いたが、当初、米国に保管した方が安全とし要請に応じず、在庫確認も適切に管理しているため、その必要はないと回答。また、米国は運送上の問題で、多額な金を一度に輸送できないと説明。こういった経緯があった事で、本当に米国に金の在庫が存在するのかと言った陰謀説も浮上しました。

 ドイツは、2020年までに海外に保管されている金塊の 50%を返還する計画。

 この動きに追随する動きがあればある程、ドルの信認は落ち込み、相対的に金が買われる流れとなりそうです。