マティス米国防長官は19日、米軍の増強計画など国防の方向性を示す戦略文書「国家防衛戦略」を発表。

 トランプ政権で初となる同文書では中国を、米国の覇権に挑戦する最大の脅威とみなし、「対テロ」から、中国とロシアとの長期的な「戦略的競争」に備える体制に転換する方針を打ち出した。北朝鮮に対処する弾道ミサイル防衛の拡充も盛り込んだ。

 マティス氏は発表の演説で「米国の安全保障が現在、最も重点を置くべきは、テロでなく、大国間競争だ」と宣言。中露の急速な軍拡で、米軍の優位性は脅かされているとの危機感を示し、「より精強な軍を作り、伝統的な同盟を強化する」と訴えた。

 同文書には、脅威の冒頭に、南シナ海の軍事拠点化などを進める中国の活動を明記。「インド太平洋での覇権を狙い、将来的に地球規模で米国の主導的地位に取って代わろうとしている」と強く警鐘を鳴らした。