トランプ米大統領がガソリンにエタノールを15%混ぜた燃料「E15」の夏季販売解禁に向けた法整備を環境保護局(EPA)に指示したことについて、バイオ燃料業界は10日までに歓迎する声明を出す一方、石油業界からは反発の声が上がった。

 全米トウモロコシ生産者協会(NCGA)のリン・クリスプ会長は「全米のトウモロコシ農家は需要を増やし、ガソリンスタンドで消費者により多くの選択肢を提供し、地域の経済状況を改善するため、E15のようなエタノール混合率の高い燃料の通年販売を提唱してきた」と説明。「トランプ大統領が農家との約束を遂行していることに感謝する」と表明した。

 米再生可能燃料協会(RFA)のジェフ・クーパー会長兼最高経営責任者(CEO)はE15の通年販売に向けて「最初の公的な措置が取られたことは喜ばしい」と評価。「農家や再生可能燃料の生産者は新たな市場機会や需要の源泉を是が非でも必要としている」と訴えた。

 米エタノール生産者団体「グロース・エナジー」のエミリー・スコーCEOは「農家やバイオ燃料業者、小売業者、消費者にとって素晴らしいニュースだ」と指摘。「全米でのE15販売によって20億ブッシェルの米国産トウモロコシの需要が喚起される見込みで、農家所得の減少で大きな打撃を受けている地域社会の成長回復に資する」と期待を示した。

 一方、米石油協会(API)のマイク・ソマーズ会長兼CEOは、大半の車がE15を使用できるよう設計されていないと主張し、そのような燃料を「市場に投入することは消費者にとって最善の利益ではない」と強調。業界として法的措置を検討。