欧州連合(EU)が域外からの直接投資を規制する動きを一段と強めている。新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的打撃が深刻化する中、重要産業の買収機会をうかがう中国などへの警戒感が背景。

 「経済的な脆弱性は重要なインフラや技術の売却につながる」。欧州委員会のホーガン委員(通商担当)は4月の貿易相会合で、株価下落で割安になった企業が狙われる恐れがあると警告。各国に対応を急ぐよう訴えた。

 欧州委は既に昨年、域外からの直接投資の審査に関し、加盟国間で情報共有し相互に監視し合うEUの新規則を導入した。さらに欧州委は3月、コロナ危機で「戦略産業への潜在的リスクが増している」とし、特に医療分野の審査厳格化を加盟国に促す指針も示した。

 一方、ドイツ政府は4月、EU規制に基づき外資規制強化の法令改正を承認。今後、医療も対象に加える。
イタリアも買収制限強化を打ち出したほか、既に審査基準を厳格化したフランスも監視を強めている。