イランの核・軍事関連施設で6月下旬と7月初めに詳細不明の爆発が相次いで起き、サイバー攻撃を含む破壊工作を疑う声が強まっている。イラン当局者は「サイバー攻撃を受ければ対抗する」と警告。

 ウラン濃縮施設のある中部ナタンツでは7月2日、爆発が発生。イラン原子力庁報道官は「放射能漏れはなく、稼働も継続している」と述べたが、建物の損壊に加え、「高性能遠心分離機の開発が遅れる可能性がある」と被害の大きさを認めた。

 この爆発について、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、イラン当局が国内反体制派や敵対国による破壊活動の可能性を調査していると報道。米紙ニューヨーク・タイムズは中東の情報当局者の話として、施設内に仕掛けられた爆発物が原因と伝えた。さらにロイター通信は、遠心分離機の建造工場を狙ったサイバー攻撃の可能性も挙げた。

 イランの核関連活動をめぐっては、イランと敵対し核保有を警戒するイスラエルや米国が過去にサイバー攻撃を仕掛けたとみられている。2010年にはナタンツにある濃縮施設のシステムが妨害を受け、遠心分離機が稼働不能に陥ったほか、原子力発電所も攻撃対象になったとされる。