パウエルFRB議長は4日、米長期金利の急速な上昇について「無秩序な動きで雇用と物価目標の達成が脅かされることを懸念している」と述べ、市場の動きをけん制した。景気回復まで金融緩和を「忍耐強く」続けると強調し、早期の縮小を否定した。

議長はオンラインで行われたイベントで、新型コロナウイルスのワクチン普及や追加経済対策による需要増加が、インフレ率を今後2%超に押し上げると予想した。ただこうした動きは「一時的」と断じ、「平均2%と雇用最大化という目標の達成は長い道のりになる」と語った。

米国ではワクチン接種を受けた人が5000万人を超え、景気回復が想定よりも早まるとの期待感が金利上昇の一因となっている。議長は2月の議会証言で、「金利上昇は力強い経済回復に対する自信の表れ」と発言していた。

議長は、先行きへの楽観論を封印する一方、雇用と物価目標へは「あまり前進していない」と指摘。「現行の金融政策は適切だ」と述べ、16、17両日の金融政策会合で事実上ゼロ金利政策と量的金融緩和策を据え置く考えを示唆した。