米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は23日、オンラインでの講演で、米景気をめぐる「不透明感の霧はまだ晴れていない」と述べ、忍耐強く金融緩和策を維持する必要性を強調した。
経済予測に基づいた拙速な緩和縮小はリスクを招くと語り、あくまでも実績で政策を判断すると語った。

コロナ危機が起きた昨春に物価が多く落ち込んだ反動で「4月と5月のインフレ率は(目標とする)2%を上回って推移するだろう」と予想した。経済活動の持ち直しによる需要拡大、供給障害などによる要因も重なり、21年末までに「2%をやや上回る」としたが、こうしたインフレ圧力の高まりは「一時的だ」と明言した。

その上で、失業率の改善やインフレ率の上昇を予測し、景気過熱を未然に防ぐために金融緩和を縮小することは、雇用最大化と物価安定の目標達成を損なう「望まないリスク」を招くと強調。FRBは予測ではなく、実績に基づいて忍耐強く金融緩和策を維持すると語った。