国際錫(スズ)協会(ITA)は29日、スズの需給について、今後数年間は電子機器用や環境関連の需要が拡大する一方、鉱山への投資ペースは鈍化するため、供給不足が拡大するとの見通しを示した。

ITAは同日開催されたオンライン業界会合の際、ロイター通信に対し、世界のスズの供給不足量は2021年の1万0200トンが22年には1万2700トンに拡大するだろうと説明。

スズの年間消費量は25年までに43万トンに拡大する見込み。20年と比べると約20%増となる。

ITAのジェレミー・ピアース氏は会合で、電子機器の相互接続や高速大容量規格「5G」網の整備などを通じてスズの需要が拡大すると話した。また、太陽光発電設備や電気自動車(EV)用のリチウムイオン電池、二酸化炭素(CO2)回収装置用の触媒など、CO2排出削減につながる技術においても必要とされる。

一方、新規のスズ鉱山への投資は近年縮小しており、近く生産を開始する鉱山は4カ所のみ。それ以外の鉱山が生産を開始する可能性はあるが、新たな鉱山での生産能力は25年までに合わせても最大3万8700トンにとどまる見通し。