「OPECプラス」による減産縮小協議の決裂で「石油市場の需給が著しく逼迫する」可能性を指摘し、在庫水準の大幅減にも言及。増産を巡る協議の停滞が長引けば市場の逼迫や変動をもたらす恐れがあると警告、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展で石油需要は急増しているとの認識を示した。

IEAは「OPECプラス」の減産緩和協議について「歩み寄るまでは生産規模が7月の水準にとどまることを意味する」とした。供給量が増えなければ新型コロナウイルス禍からの景気回復につれた需要増を賄えず、世界の石油需給が大きく引き締まるとみる。

IEAは月報で「わずかだが、市場シェアを巡る争いが起きる可能性があり、これが市場の重しとなっている。また、燃料価格の上昇でインフレが進行し、脆弱な景気回復が腰折れする可能性も、市場の重しになっている」と表明。

IEAは、一部の国では感染拡大が依然として主要な下振れリスクだが、大半の先進国の石油在庫は歴史的な平均水準を大幅に下回っており、今年秋の石油在庫の取り崩しは、少なくとも過去10年で最大になると予想した。

「OPECプラスの生産方針が明らかになるまで、石油市場は不安定な状態が続く公算が大きい。こうしたボラティリティーは、秩序ある確実なエネルギー移行に寄与せず、生産者の利益にも消費者の利益にもならない」としている。

「OPECプラス」は、減産の延長を巡ってサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が対立。週内に協議が再開される公算は小さい。市場では、対立が解消しない場合、協定そのものが破棄され、市場シェアを巡る争いが激化しかねない可能性も。