7月3日に米軍がアフガニスタンの最大拠点だったバグラム空軍基地から撤退し、9月11日の期限より前に事実上の撤退を完了。2001年に米軍介入で政権から追われたイスラム原理主義勢力タリバンは急速に巻き返しの勢いを見せており、既に国土の85%を制圧したと称する。アフガニスタン政府軍はもとから実力を欠き、これからは武器弾薬の補給と兵士への給料支払いもおぼつかなくなる。

米軍撤退に伴うアフガニスタンや中東の再編が意識される中、7月28日、アフガニスタンの反政府武装勢力のタリバン幹部のバラダル師が率いる代表団が中国を訪問し、天津で王毅外相らと会談した。

人民日報(環球時報)によると、中露が主導する上海協力機構がアフガニスタンを安定させていくと指摘。今回のタリバンの訪中を皮切りに、これから中露イランがアフガニスタンを安定させていき、中国からパキスタン、イラン、中央アジア、中東への一帯一路の経済ルートの発展が始まる可能性。

習近平政権の「一帯一路」戦略の中で、中国西域から中国傘下のパキスタンを通ってアフガニスタンに入り、イランや中央アジア方面に抜ける商業ルートは非常に重要。

19世紀から英国やソ連や米国が次々とアフガン占領を試み、すべて失敗して撤退しており、中国も必ず失敗する、という見方がある一方、英米ソなどと異なり、中国は、アフガニスタンを占領するのでなく、安定させて商業ルートとして使い、中国とアフガンの両方が儲かるようにする「ウィンウィン」政策との見方もある。