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NY原(2月限)は、2014年10月以来、7年3カ月ぶりの水準に上昇した。

ロシアとウクライナ情勢の緊迫化に加えて、サウジアラビア主導の連合軍が報復措置でイエメンの反政府武装勢力フーシ派が支配する同国の首都サヌアを空爆したことで地政学的リスクが高まった。

イエメンの反政府武装勢力、フーシ派がアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビでドローン(無人機)と弾道ミサイルで行った攻撃により、アブダビ国営石油会社(ADNOC)の貯蔵施設付近で燃料タンクが爆発し3人が死亡。これに対する報復措置としとて、サウジアラビア主導の連合軍がフーシ派が支配する同国の首都サヌアを空爆して14人が死亡した。

また石油輸出国機構(OPEC)月報で今年の石油市場について、旺盛な需要により価格は支持されるとの見方を示したことも材料視された。

2021年12月のOPEC加盟国産油量は日量2788万バレルと、前月比16万バレル増の日量2788万バレルになった。複数の国が生産目標を大きく下回っており、石油の供給不足が鮮明となった。
「OPECプラス」は昨年12月の生産目標として、イランやベネズエラ、リビアを除くOPEC加盟10カ国で2430万バレルと決めていた。しかし、10カ国の産油量は2367万バレルにとどまった。国別に見ると、アンゴラは116万バレル(生産目標は139万バレル)、ナイジェリアも133万バレル(同166万バレル)となり、いずれも大きく下回った。また、サウジアラビアも993万バレル(同1001万バレル)にとどまった。リビアとナイジェリアは前月から減産となった。

2022年通年の世界石油需要見通しは日量1億0080万バレルと、前年比同420万バレル増となる見込み。新型コロナウイルスのオミクロン株感染拡大と政策金利上昇が予想されるものの、世界の石油需要は好調な伸びを示すと見込んだ。1億バレル超を記録するのは19年(年間ベース)以来。

2021年11月の経済協力開発機構(OECD)商業石油在庫は27億2100万バレルと、前月比1600万バレル減となった。

米大手金融機関、ゴールドマンサックスは、旺盛な原油需要を背景にブレント原油について、2022年第3四半期(7〜9月)、第4四半期(10〜12月)の平均予想価格をともに100ドルとして、これまでより20ドル上方修正した。また、2022年通年も96ドルとして、15ドル上方修正。2023年は105ドルとして、20ドル上方修正した。


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 米国家安全保障会議(NSC)のエミリー・ホーン報道官は18日、バイデン政権が景気回復を損ねかねない原油価格上昇に対処する必要が生じれば、そのためのツールはまだあると語ったが、市場は打つ手が限定的なことを見透かしている感。

CRB指数のスーパーサイクル入りが意識される中、価格帯別出来高の厚い75〜82ドル水準の下値支持感が高まっている。

200日移動平均線との乖離率も、依然として大きな過熱感ある水準ではない。

産油国の供給障害を伴う地政学リスクが発生した場合、心理的節目100ドルは、単なる通過点となる可能性もある。

ロシア軍の国境付近への部隊集結でウクライナ情勢が緊迫する中、ベラルーシのルカシェンコ大統領は17日、ポーランドやウクライナとの国境に近い西部や南部で2月にロシアとの合同軍事演習を行うと発表。

ウクライナ情勢を巡り、北大西洋条約機構(NATO)とロシアが協議する「NATO・ロシア理事会」の再開催が模索されているが、双方の主張は平行線を辿ったまま。

更に、イランの核合意復帰交渉も難航している。

安価かつ高性能のドローン武器普及で、産油国精製・貯蔵施設の攻撃が容易となっている。