金と10年債5分足220126

 米連邦公開市場委員会(FOMC)では3月の利上げが示唆され、量的緩和の縮小(テーパリング)を終了し、債券保有を縮小するとの見通しも示された。FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長が「すべての会合での利上げの可能性を排除しない」と述べ、FOMC後は米国債の利回り上昇やドル高を受けて、NY金は一段安となった。

パウエル議長は、労働需給の逼迫は「これまで見たことがないレベル」と強調。賃金インフレを警戒し「労働市場を損ねることなく利上げは可能」と指摘した。

米国経済は総じて底堅く推移しているものの、生計費の急速な上昇で家計のセンチメントの停滞感が強まっており、40年ぶりのインフレと史上最大の金融緩状態は共存し得ない。

インフレの抑制に関してバイデン政権は、これまで原油国家備蓄放出や、サプライチェーンの混乱への対応策などを打ち出してきたが、今のところインフレ抑制に十分な効果を上げているとは言い難い。昨晩は、ここ最近、上げ足を強めていたこともあり、米金利上昇を嫌気して調整安となったが、下値は限定的。

nygv

 株価の上昇と共に金利が上昇する「良い金利上昇」となるなら、金は続落となるだろうが、株価下落を伴う「悪い金利上昇」となるなら、金の押し目は買い直される。

 また、ウクライナ情勢をめぐり、アメリカのブリンケン国務長官はロシアがNATO(北大西洋条約機構)をこれ以上拡大させないよう要求していることに対し、応じられない考えを書面で回答したと明らかにした。ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟に反発するロシアがウクライナへ侵攻する懸念から原油が上昇したことが、金の下値を支えている。
本日は、北朝鮮による弾道ミサイル発射報道もあり、世界各地で燻る地政学リスクの高まりが「安全資産」としての金に資金を向かわせるだろう。