
昨晩のNY原油(5月限)は上昇した。前日比1.23ドル高の1バレル70.90ドルで終えた。米欧の金融システム不安が景気を冷やすとの見方が後退し、原油需要が伸び悩むとの懸念が薄れ、買いが優勢になった。
FOMCが0.25%の小幅な利上げを決定したほか、パウエルFRB議長が利上げ停止を検討したことを明らかにするなど、金融システム不安を背景にこれまでのタカ派的な構えがやや後退したことが原油相場を押し上げた。FOMCメンバーの金利見通しであるドットプロットで2023年の中央値は5.125%と、昨年12月と変わらず。FOMC声明では追加利上げが示唆されたが、次回のFOMCで打ち止めとなる可能性が意識された。
米エネルギー情報局(EIA)の週報で原油在庫の積み増しが続き、2021年5月以来の高水準を更新したことは重しだが、製品在庫が取り崩されたことは支援要因。製品輸出が日量701万2000バレルと堅調だったなかで、原油と製品の輸出量の合計は日量1194万4000バレルと過去最高水準を塗り替えた。製油所稼働率は前回の88.2%から88.6%まで上昇したものの、季節的な需要拡大を見据えた原油投入量の拡大は限定的。