英石油大手BPは14日公表のエネルギー見通しで、世界の石油需要が既にピークを過ぎた可能性もあるとの見方を示した。新型コロナウイルスの影響による世界経済の悪化や行動様式の変化で、感染拡大前の水準に戻らないシナリオを盛り込んだ。

今年の報告書では2050年までの長期予測を出した。環境政策や技術開発が最近の傾向に沿って進む前提の標準ケースに加え、政策主導でエネルギー転換が勢いづく「急速」、低炭素化がさらに活発な「ネットゼロ」の3つのシナリオを想定した。いずれの想定のでも再生可能エネルギーへの移行が進む。

標準以外の2つのシナリオでは、世界の石油需要は新型コロナによる落ち込みから完全には戻らず「19年に天井を打ったことを意味する」とした。低炭素化が最も急激に進む場合は18年の日量9980万バレルから、30年に9250万バレル、50年には3060万バレルまで縮む。

標準シナリオでは30年代に減少に転じ、50年に9310万バレルになる。

いずれの場合も石油需要は先進国や中国を中心に減っていく見通し。

1次エネルギーに占める比率は18年の5%から、50年には標準シナリオで22%、「急速」シナリオでは44%に高まると予測。