日本を訪れた国連食糧農業機関(FAO)の高官が、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が長期化する中、今年多くの国が食料の供給をめぐる問題に直面するという見方を示し、中長期的な視野に立って世界の食料安全保障を見直す必要があると指摘しました。

FAOのチーフエコノミストのマッシモ・トレロ氏は8日、ロシアの軍事侵攻の長期化によって、ウクライナやロシアの農産物や肥料の生産や流通が停滞し、世界的な食料価格の高騰を引き起こしているとしたうえで、「ことしは多くの国が食料を入手できなかったり、供給が滞ったりする問題に直面する」と危機感を示しました。

さらに、国連などが仲介したウクライナ産の農産物の輸出をめぐるロシア側との合意が来月の期限のあと更新されず、世界の食料事情にさらに悪影響を及ぼすおそれがあると指摘。