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今日の世界ではアメリカが覇権国家の座を維持してはいるが、いよいよその覇権も揺らぎつつあるように見える。現在のアメリカは、有史以来、最大の債務国である。

アメリカの連邦政府が発行できる国債などの総額は法律で定められており、債務上限と呼ばれている。債務上限を超えて国債を発行するには、議会の承認が必要となる。2023年、この債務上限をめぐる交渉が難航し、債務不履行(デフォルト)の危機に発展しかねない状況にあった。

結果的には、債務上限の適用を2025年1月まで停止する法案が可決。デフォルトの危機は回避されたが、連邦政府の公的債務残高は10月時点ですでに33兆2000億ドルを突破しており、債務は週を重ねるごとに確実に膨らんでいる。

衰退を始めている国家は、衰退が進みつつあることを自覚しにくいものであり、それはアメリカも同様である。実際に、アメリカの国力はピークに達しており、現時点で衰退は始まっていると考えられる。前提として重要なのは、どんな国であれ、永遠にトップであり続けるのは不可能ということである。かつて世界のトップだったイギリスがアメリカに取って代わられたように、アメリカがトップでなくなる日がくるのは時間の問題である。
 私は今、アメリカ企業に投資をしていない。AIブームに乗じてNVIDIAに投資するほどテクノロジーに詳しいわけではないし、ショート(空売り)以外でテクノロジー関連に投資することもほとんどない。

現在、世界の基軸通貨は米ドルであるが、いずれは違う通貨になることだろう。私はウクライナ戦争とロシアに対する経済制裁が、長期的には米ドルにマイナスの影響をもたらすと予測している。
基軸通貨国であるはずのアメリカは、ウクライナ侵攻を受けてロシアを国際決済システムから離脱させ、米ドルを利用できないようにした。私は、基軸通貨であるために、常に中立的なスタンスを維持すべきだったと考えている。

 アメリカはロシアへの追加制裁として、ロシア中央銀行のアメリカにおける資産を事実上凍結したほか、ロシア企業などの150超の個人・団体を制裁対象に加え、アメリカ国内の資産を凍結し、アメリカ企業などとの取引を禁止した。これによりロシアのドル離れが加速するだけでなく、ロシアに続く国が出てくるかもしれない。実際に、ウクライナ侵攻においては西側諸国以外でアメリカに追随してロシアに制裁を科している国はそれほど多くはない。多くの国は中立的な立場を取っており、アメリカ一強だった時代が終わっていることを示唆している。今の段階では多くの国が米ドルで債券を発行しているが、かつての基軸通貨がポンドからドルに移行したように、ドルから徐々に次の通貨へと移行するに違いない。

世界に経済危機が訪れると、投資家はドルが安全通貨だと考え、ドルを買おうとしたがる。だが、前述したようにアメリカは過去最大の債務を抱えており、すでにドルは安全通貨ではなくなりつつある。これからの投資家には、ドルを売るタイミングをより慎重に見極める力が求められるだろう。