国際通貨基金(IMF)は、米国と一部の新興国市場の好調を理由に今年の世界経済成長見通しを小幅に上方修正した。最新の世界経済見通し(WEO)で、今年の世界経済成長率を3.2%と予想。1月時点の予測から0.1ポイント引き上げた。2025年の成長見通しは3.2%で据え置いた。中長期的に成長が鈍ると予測したが、短期的には好調な米国のけん引で、2024年の世界経済は前回の予測より上方修正した。

今年の米成長率見通しについては、1月時点の2.1%から2.7%に上方修正。中国は今年4.6%、来年4.1%と、1月の予想から変更なし。不動産セクターと内需の弱さが経済活動を圧迫する見込み。
ユーロ圏は0.1ポイント下げて0.8%の低成長を見込む。ドイツやフランスの24〜25年の見通しをいずれも0.3ポイントずつ引き下げた。日本は1.9%から0.9%に減速する前回の予測を据え置いた。
ロシアは主要国の中で最も大きく成長見通しが引き上げられた。

今回の予測では中長期の見通しとして、29年の成長率が世界全体で3.1%となるとした。5年後の見通しとして過去数十年で最低になった。2000年〜19年平均の3.8%を下回る水準。成長低迷の半分が、技術の進歩や労働者の能力の高まりを示す全要素生産性(TFP)の低迷で説明できるとした。また、経済的なリスクの筆頭に中東などの地政学的な問題をあげた。

IMFは足元の世界景気については「不均等な成長ではあるが、底堅さを保っている」と強気の見方を示した。24年の上方修正は2回連続となる。25年の3.2%は前回から変えなかった。1月の前回見通しから最も大きく修正したのは、経済規模で世界の4分の1を占める米国。24年は0.6ポイント引き上げ2.7%とした。前々回は2.1%とみていた23年が2.5%となり、さらにそこから加速するシナリオに変わった。