
昨晩のNY金(12月限)は5日続伸した。前日比103.0ドル高の1トロイオンス4304.6ドルで終えた。一時4314.7ドルまで上昇し、連日で中心限月としての最高値を更新した。
中国が先週、レアアース(希土類)輸出規制強化措置を発表したことを受け、トランプ米大統領は100%対中追加関税を課す意向を表明。中国はこれに対し、報復措置を辞さない構えを示した。さらに米政府機関の閉鎖長期化の可能性も広がる中、リスク回避の動きが強まった。
米連邦準備制度理事会(FRB)高官らの発言を踏まえ、追加利下げ観測が高まっていることも引き続き、金の買い要因。パウエルFRB議長は14日の講演内容がハト派トーンと受け止められた。ウォラーFRB理事は16日の講演で、労働市場が既に縮小しているとの見方を示した上で、今月末の連邦公開市場委員会(FOMC)で「0.25%利下げすべきだ」と明言した。
16日に米地銀2行が融資に関する不正行為を巡って訴訟を起こしていたことが明らかになり、地銀を取り巻く信用リスクも意識された。同日フィラデルフィア連銀が発表した10月の製造業景況指数はマイナス12.8と9月(プラス23.2)から大幅に低下し、市場予想(プラス9.5)も下回った。信用リスクの拡大も意識されたなか、米短期金利先物市場では10月28〜29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利下げを予想する確率が一時5%となった。

金相場は年初来で60%超上昇。地政学リスクや米下げ観測のほか、基軸通貨ドルの信認低下、中銀の金購入拡大、金上場投資信託(ETF)への大量の資金流入などが背景。
ただし、200日移動平均線乖離率が30に接近しており、短期的な過熱感は強い。